介護ロボットのプラットフォーム事業は、介護ロボットを導入したい介護現場と、現場のニーズに合った機器を開発したい企業をつなぎ、介護職の人材不足の解決や高齢者への質の高いサービスを図ることを目的としている。福祉施設では、介護職の高齢化や腰痛などによる離職率の高さ、人手不足によるサービスの質の低下などが課題となっており、解決方法の一つとして介護現場へのテクノロジーの導入が不可欠となっている。ロボット技術の介護利用における重点分野として厚労省は、移乗介助や移動支援、排泄支援、見守り・コミュニケーション、入浴支援、介護業務支援の6分野を挙げている。介護ロボットの種類や機能は年々広がっている。
介護ロボットの相談窓口では、「介護ロボットの選び方がわからない」「どのように導入すれば良いのか」「補助金を利用したい」など介護現場からの具体的な相談に応じている。介護ロボットを試しに使ってみたいという施設には、試用貸出企業につなぎ、1カ月間無料で介護ロボットの貸出を行っている。公益財団法人テクノエイド協会の呼びかけに応じた企業の協力により、令和3年度は移乗や移動支援など約50種類の介護ロボットが貸出可能。どんな製品があるのか、介護ロボットプラットフォーム事業のウェブサイトから検索することができる。
それぞれの施設によって抱えている課題は違う。その課題を解決するにはどんな介護ロボットが有効か。窓口では介護ロボットを活用した介護現場の業務改善方法や導入事例の紹介、また介護ロボットの補助金の紹介なども行っている。オンラインでの対応も可能だ。
相談窓口とあわせて、実際にその場で介護ロボットを体験できる展示場も活用したい。大阪・南港にある日本最大級の健康・福祉・介護関連の常設展示場「ATCエイジレスセンター」(大阪市住之江区)は、プラットフォーム事業にともない、今年6月から介護ロボットの体験展示ゾーンを新たに設け、介護ロボットの相談窓口を開設している。
同センターの展示フロアは約5000㎡。様々な種類の車いすや電動車いすをはじめ、福祉車両やシルバーカーなど安全に行動範囲を広げられる移動機器、介護ベッドや床ずれ予防用品、ポータブルトイレ、生活支援用品のほか、バリアフリー住宅のモデルなど、ありとあらゆる福祉用品が紹介されている。
介護ロボットとしては、介護する人の体の負担を軽減する移乗支援や、高齢者の歩行をサポートする移動支援、夜間の見守りシステムなどが多く展示されている。例えば、体の負担を軽減するパワーアシストスーツでは、衣服型の「J-PAS fleairy(フレアリー)」(ジェイテクト)のようにコンパクトで軽量化されたものが新たに登場している。どんな特徴があるのか調べてみると、フレーム構造のないベルト巻き上げ式で、センサーにより複合的な連続動作に対応。介護作業での腰部の負担がトイレ空間での立位保持介助では59%、おむつ交換など中腰姿勢保持では約94%低減するという。
また見守りシステムについても、ベッドのマットレスの下にセンターを設置して入居者の動きや睡眠を把握するもの、センサーがベッドと一体になったもの、広角IRセンサーと非接触型生体センターにより動きやバイタル情報を察知し画像記録できるものなど、選択肢は増えている。
介護ロボットは身近な存在になりつつある。「どのようなものが施設の課題解決に役立つのか。実際に試して、何でも相談してください」と、同センターでは呼びかけている。
◎介護ロボットの開発・実証・普及のプラットフォーム
https://www.kaigo-pf.com/
◎ATCエイジレスセンター
大阪市住之江区南港北2-1-10 ATCビルITM棟11階
入場無料/開館時間10:00~16:30/休館日月曜日・年末年始 06-6615-5123
https://www.ageless.gr.jp/