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高齢者向けトレーニング機器を開発した背景はなんですか?

現在、日本において高齢化が急速に進んでいく中で、高齢者の健康寿命の延伸は国の施策の柱にもなっており、非常に重要なテーマといえます。こうした状況下、要介護状態に陥ってしまう大きな原因のひとつとして、ロコモティブシンドロームがあげられます。これは高齢による衰弱や様々な疾病により、体の関節や筋肉が弱り、移動が困難になってしまう症状で、生活における自立度が下がってしまった状態です。こうした状態を脱却するため、ジェイテクトがこれまで自動車分野で培ってきた技術を活かせないかと考えました。

なるほど、そのような背景で開発したJ-Walkerテクテックですが、コンセプトや工夫した点はどんなところでしょうか

「ずっと元気でいられる最適な歩行を目指して」をキャッチコピーとしています。今回の開発にあたっては様々な研究機関や介護施設関係者からアドバイスを頂いたのですが、そこで分かったことは、歩行トレーニングにおいては様々な課題があるということです。施設内を周回するなどの普段のトレーニングでは結果が出にくい、単調なリハビリにモチベーションが続かないなど、様々な意見を頂きました。そこで、歩行トレーニングを革新するためには高齢者が短時間で有効なトレーニングが行え、なおかつ、やる気が継続するような仕掛けが必要だと考え、それらを必要要件として製品機能に盛り込みました。

なぜ「腕振り機能」を取り入れたのでしょうか

これは東京大学 中澤教授のノルディックウォークの研究成果を取り入れた機能で、J-Walkerテクテックの一番の特徴でもあります。従来では、トレーニングといえば体の一部を集中的に動かすことが主流でした。一方でJ-Walkerテクテックの腕振りにおいては、全身をまんべんなく、同時に動かすことを重視しています。全身の筋肉を動かすことにより、適度に酸素摂取量や心拍数が上昇し、有酸素運動が可能になります。これにより短時間で効率の良いトレーニングが可能になるというわけです。また、縦のグリップを握って歩くことにより歩行に必要な姿勢改善などの効果も期待でき、より多角的に歩行改善にアプローチできると考えています。

最後に、製品に対する想いをお聞かせ頂けますか

J-Walkerテクテックにはこれまでジェイテクトが自動車分野で培ってきた様々な技術が使われています。こうした技術が、高齢者の健康寿命延伸という形で新たに社会のお役に立てればうれしいですね。これまでトレーニングが必要と分かっていながら、なかなか一歩が踏み出せなかった高齢者の後押しをして、豊かなセカンドライフをサポートする一助になれればと思っています。